糖尿病性網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病によって網膜に出血したり、網膜が腫れたり、場合によって眼内に強い出血をきたす病気です。自覚症状はほとんどでないため、糖尿病が見つかったら、必ず定期的な眼底検査を受けましょう。
病状の進行の度合いで「単純糖尿病網膜症」「前増殖糖尿病網膜症」「増殖糖尿病網膜症」の病期に分類されます。糖尿病網膜症はどの病期であっても、血糖コントロールをはじめとした内科的管理の上に、眼科的な病期による治療方法が選択されます。
- 糖尿病網膜症の症状と進行の変化
- ●単純糖尿病網膜症
網膜の血管が高血糖によってもろくなり、点状出血や血液中の成分が染み出してできたシミ、細小血管のこぶなどがみられます。
●前増殖糖尿病網膜症
血管がつまり、その先の網膜は血液が足りない状態(虚血)となり、シミをつくります。酸素欠乏で血管自体も死にかけてきます。死んでしまった血管のかわりに、新しい血管(新生血管)が伸び始める準備段階です。また、静脈が異常に腫れあがったり、細小血管の形が不規則になります。
●増殖糖尿病網膜症
網膜の虚血を補おうとして新生血管が伸びてくる段階です。新生血管は網膜だけでなく、本来なら血管は必要ない眼球内部のゼリー状の部分(硝子体)にも伸びてきます。 新生血管の構造は非常にもろいため、破れて網膜や硝子体に強い出血を起こすことがあります。また新生血管から血液成分が漏れ出して硝子体の表面に膜(増殖膜)を作ります。増殖膜は硝子体と網膜の癒着を強めるため、網膜剥離が起きやすくなります。